同棲(T)

ケンジ「ごめん、今日帰り遅くなる」

絵里「え?なんで?」(ごろごろ寝っ転がりながらテレビを見ている)

ケンジ「仕事が長引いちゃって、ほんとごめん!ご飯は適当に食べて帰るから・・・」

絵里「今日は早く帰るって言ってたじゃん」

ケンジ「それはそうなんだけどさ・・・」

絵里「もういい!」

ケンジ「あっ絵里」プツッ

プープー

絵里「・・・はぁ」

同棲ってもっと楽しいと思ってたな。

「引き出し開けっ放し・・・」

「ズボン裏返し・・・」

「何このティッシュ・・・」

絵里「なんか疲れちゃった」

 

ケンジ「ただいまー」

絵里「おかえり」

ケンジ「まだ起きてたんだ」

絵里「うん。ちょっと話したいなと思って」

ケンジ「話?どうしたの?」

絵里「なんか、最近あんまり話せてないなと思って」

ケンジ「ごめんね、仕事が忙しくて」

絵里「仕事を頑張ってくれてるのは分かるんだけどさ」

ケンジ「うん」

絵里「最近は一緒に寝れてもないし」

ケンジ「うん」

絵里「一緒にゲームとかもできてない」

ケンジ「うん」

絵里「私のこと飽きちゃったの?」

ケンジ「ごめん」

絵里「ああ、そう。やっぱりそうなんだ」

ケンジ「え?あ。いや違うって。そういう事じゃなくて」

絵里「言い訳しなくていいよ。もう私の事好きじゃないんでしょ?」

ケンジ「そんな訳無いじゃん。忙しくて前みたいに一緒にいられなくてごめんねって思って」

絵里「ふーん」

ケンジ「俺、もう寝るね。おやすみ」

絵里「・・・」

 

私はなんでこんなにムカついてるんだろう。自分でもよく分からない。同棲ってこういうものなのかなぁ。

 

朝起きて朝食の準備をしていると、テーブルに便箋が置いてある事に気付いた。

私は嬉しくなって、頬が緩むのを抑えることができなかった。手紙にはこう書かれていた。

 

「絵里へ。ごめんなさい。僕はもう、君と生活する事に疲れてしまいました。僕と別れてください。」