ジャメヴ台本(配役の関係で男女逆転)

主人公 弘樹

恋人 千夏

友達 加奈子

書き始めた時に登場人物の名前が未定だった為表記が恋と主と友になっています。

 

主(あれ、なんで?)

恋「あ、おはよ。よく寝たねぇ」冷蔵庫から牛乳を出して机に置く

主「え?ああ・・・」机の奥の布団で上半身を起こして目を細めている

恋「ちょうどパン焼けたけど食べる?」

主「あ、え?いや・・・え?」

恋「え?」

主「え?」

恋「え?」

主「え?」

恋「何?寝ぼけてる?」

主「うーん・・・?」

恋「まあいいから早く食べなよ。今日お出かけするんでしょ?」

主「・・・」訝しげにパンの匂いを嗅ぐ

恋「何やってんの?w冷めちゃうよ?」

主「あ、はい。いただきます」

恋「いただきます」

主「・・・」食べたのを確認してから食べ始める

恋「大丈夫?具合悪い?」

主「いえ・・・あの、ちょっといいですか?」

恋「何?えっ怖いんだけど」

主「どちら様でしょうか?」

恋「え?」

主「いや、『え?』じゃなくて、初対面ですよね?ここ僕の部屋なんですけど」

恋「ふざけてるの?」

主「ふざけてません」

恋「じゃあ寝ぼけてる?」

主「寝ぼけてもいないと思います」

恋「じゃあ何なの?ふざけてもいないし寝ぼけてもいないなら何?嫌がらせ?」

主「・・・」

主(一体何が起こっているのだろう。もしかして本当に僕がおかしくなってしまったんだろうか)

恋「ふざけてる・・・?いや弘樹はこんな冗談言わないよね。ってことは病気か」ブツブツ (わりと迫真な感じで)

主「あの、なんで僕の名前」

恋「本気で私が誰か分からない?」

主「不法侵入者・・・?」

恋「うわー」

主「警察呼んだ方がいいのかな・・・」

恋「これは重症だなあ。・・・ねえ弘樹、今日は病院行こうか」

主「いえ結構です。とりあえず帰って貰っていいですか?」

恋「・・・(´Д⊂グスン」

主「ご、ごめん」

恋「大丈夫、こっちこそごめんね」

主(本当にどうしよう、悪い人じゃないっぽいんだけどなぁ)

恋「私、島田千夏っていうの。あなたの恋人です。よろしくね」

主「は?」

恋「?」

主人公、ハッとする。

主「お前、ふざけんなよ。もしかして千夏になんかしたのか?」

恋「だから千夏は私だって」

主「」スマホで通話をかける

恋「」テーブルに置かれてるスマホが鳴る

主「それ、千夏の・・・」

恋「うん、私の」

主「違う」

恋「違くないよ。ねえ弘樹、もしかして昨日頭でも打った?」

主「・・・もしそうだとして、本当にあなたが千夏なら二人にしか分からないこと言ってみてくださいよ」

恋「え~、なんだろう。記念日にもらったプレゼントとか?」

主「何?」

恋「香水。金木犀のやつ」

主「そんなのあげたことないし、千夏は香水好きじゃなかった筈」

恋「じゃあ、馴れ初めとか?」

主「いいね。どうぞ」

恋「最初の対面授業で同じ班になって、ジョジョの話で盛り上がってさ、それで仲良くなったんだよね」

主「全然違う。同じ班とかなったことないし。あとジョジョも見たことない。動物がひどい目に遭う作品全般無理だし」

恋「じゃあ私との思い出、全部忘れちゃったってこと?」

主「あなたとの思い出は特にありませんから」

恋「・・・」

主「・・・らちが明かない。共通の知人誰か分かる?」

恋「加奈子とか?あと男なら純一君とか」

主「それは分かるんだ。まあ見てたら分かるもんな」

恋「今から呼ぼうか」

主「うん。LINE送った」

 

待っている間、すすり泣く千夏。

十分後

 

主「鈴木さん、その子が誰だか分かる?」

友「はあ?」

恋「いいから、答えてあげて」

友「誰って、君が一番よく知ってるでしょ。橘千夏、21歳、誕生日は9月25日」

主「千夏の誕生日は2月だし、まだ20歳だよ」

恋「加奈子が合ってる」

友「弘樹君さぁ・・・」

主「千夏は金髪に染めてたし、身長ももうちょっと小さいでしょ」

友「・・・?」眉をひそめて千夏の顔を見る

恋「実はかくかくしかじかで・・・」

五分後

友「そうだ、ツーショットとかスマホに入ってるでしょ。それ見れば?」

主「あ」

恋「その手があった」

友「おいおい・・・」

主「消えてる・・・」

恋「私は先週スマホ変えちゃったから一枚も無いや」

主「なんか怪しいな」

恋「怪しいって、弘樹が踏んで壊したんじゃん。まあ床に置いといた私も悪かったけど」

主「は~~~一体何がどうなってんだ」

友「あ、そういえば私この前テレビで似たような話見たかも。なんだっけな、ジャメヴ?」

主「ジャメヴ?聞いたこと無いな。調べてみよ」

主「・・・なるほど。つまりデジャヴの反対で、慣れ親しんだ筈のものが初めて見るように感じてしまう現象ってことだね。初めて知った」

恋「これっぽいけど、違うような気もする」

主「これなのかなぁ。むしろ別の世界に来ちゃったみたいな感じがするけど」

主「頭痛くなってきた」

友「一旦散歩でもしてきたら?だんだん思い出してくるかもしれないし」

主「そうだね。じゃあちょっと外出てくる」

 

 

主「見慣れた道路、見慣れた家、見慣れた空・・・」

主「見慣れないのは彼女の顔だけか」

主(ジャメヴかぁ。そういえば千夏、デジャヴは別世界線の自分の記憶だとかなんとか言ってたことあったなぁ)

主「そんなアニメみたいなことあり得ないよな~。やっぱ俺おかしくなっちゃったのかな」

主(もしそうだとしたら、俺の彼女はどこへ行ってしまったんだろう)

主「ああああああああああ」

 

 

八王子駅

主「見慣れた駅・・・」

謎の女性「ブツブツ」

主(なんかぶつぶつ言ってる人いる・・・)

謎「私は誰?ここはどこ?私の恋人は?」

主(汚いジャンパー・・・)

突如、ジャンパーにものすごい既視感を覚える

主「!?」(なんだろう、今の感覚)

主「ち、千夏!」

謎の女性「ちなつ・・・・?誰だっけ、聞いたことあるような」ブツブツ

主「・・・何言ってんだろうな、俺。帰ろう」

 

恋「弘樹、私のチャーハン好きだったでしょ?」

主「ありがとう。いただきます」

主「おいしい」

恋「そう?よかった」

恋「何か思い出せた?」

主「・・・ごめん」

恋「いや、大丈夫。ねえ、ところで弘樹、私と別れるとか言わないよね?」

主「言わないよ」

恋「ふーん」

主「おいしかった。ごちそうさまでした」

恋「よかった」

主(チャーハンは確かに美味しかったけど、でもやっぱり初めて食べる味がした。)