夢の話

もう最近「好き」がなんだか分からなくなっちゃってさ。なんで子供のころってあんな簡単に人のこと好きになれてたんだろうね。夢に出てきた人を好きになったりとかね。あー、わかる。次の日から妙に気になっちゃうんだよねぇ。そうそう。最初から深層心理でその人のこと好きだったりするのかもね。なるほど、卵が先かニワトリが先か問題。

あ、そういえばこの前君が夢に出てきたよ。えっ、まじ?うん。どんな夢?俺、何してた?二人で話しながらお散歩してたの。話の内容は、趣味のこととか、友達のこととか、他愛のないこと。・・・ほう。なんか、「遠回りして帰ろうか」とか君がクサいこと言ってさ、知らない道を歩いて、気が付いたら何故か海を見渡せる丘にいたの。なんかロマンチックな気分になってた。・・・海。せっかくだから遊んでいこうかってなって、二人して膝まで海に浸かって水掛け合ったりしてさ。・・・うん。水滴が夕陽を反射してキラキラ光っててさ。夢みたいに幻想的な景色だった。まあ実際夢だったんだけど。はは。

私が「そろそろ帰ろうか」って言って砂浜に上がったら、君が私の腕をぎゅっと掴んできて、振り返ったら君はポケットから箱を取り出してさ。まさかと思ったら中から指輪を取り出して「僕と結婚してください」って言ってきて。なんでか、そこで私、「あ、これ夢だ」って気づいたんだよね。あー、明晰夢ってやつだ。

 

だから私、君のことボコボコに殴ったの。

・・・え?

そしたら君は泣きながら「やめてください助けてください」って懇願してきてさ、その顔があまりにも惨めで、面白くて、大声で笑ったら腹筋の痛みで目が覚めちゃったんだ。

 

・・・。

ところで、君のこと好きになっちゃったんだけど、私と付き合ってくれないかな?

 

 

ごめんなさい。