ジャメビュ
時間を計ってみたら30分超えてしまっていたので短めバージョンに直しました。大変申し訳ありません。。。
タイトル、ジャメヴというタイトルの映画が既にあることが発覚したので、
ジャメヴ→ジャメビュに変更。
恋「あ、おはよ。よく寝てたねー」冷蔵庫から牛乳を出して机に置く
主「え?ああ・・・」机の奥の布団で上半身を起こして目を細めている
恋「パン焼いたのあるよ。食べるでしょ?」
主「あ、うん。・・・え?うわっ!」
恋「え?」
主「え?」
沈黙
恋「どうしたの?」
主「えっと・・・誰?」
恋「私?ちなっちゃんですけど」
主「うーん・・・なんだこれ、夢?」
恋「寝ぼけてる?いいから早く食べなよ。今日お出かけするんでしょ?私もう準備しちゃったよ?」
主「お出かけ・・・すずめの戸締り」
恋「よかった、ちゃんと覚えてるじゃん」
主「・・・ん?あ~、なるほどね~」
主「朝起きたら彼女が突然知らない人になってたドッキリ・・・ってとこですかね?」
恋「はぁ?」
主「はぁ?じゃなくて、もういいですよ。もうリアクション撮れたからいいでしょ」
恋「何言ってんの?」
主「彼女役、お疲れ様でした!」
恋「役・・・?役って何?私は彼女じゃなかったって言いたいの?」
主「いやもういいですって」
恋「ねえ、そんな風に捨てるの?三年以上付き合って?信じらんない」
主「流石にダルくなってきたわ」
恋「へぇ。ヒロ君、ずっとそう思ってたんだね・・・」
主「いや、ずっとっていうか初対面だし。何この茶番」
恋「初対面って・・・。あのさ、さっきからふざけてる?」
主「いえ」
恋「じゃあ寝ぼけてる?」
主「まったく」
恋「・・・」
恋「え、まさか全部本気で言ってる?」
主「はい。いやこっちのセリフですけど」
恋「じゃあ昨日頭とか打ったりした?」
主「いえ」
恋「変なドラッグとか飲んだ?」
主「飲むわけ無いでしょ」
恋「つまり、どういうこと?」
主「だからこっちのセリフなんだよなぁ」
主「鈴木さん、その子が誰だか分かる?」
友「はあ?」
恋「いいから、答えてあげて」
友「誰って、君が一番よく知ってるでしょ。今春千夏、21歳、誕生日は9月25日だっけ」
主「千夏の誕生日は2月だし、まだ20歳だよ」
恋「加奈子が合ってる」
友「弘樹君さぁ・・・」
主「千夏はもっと髪長いし、服とかもっとダサかったでしょ?」
友「・・・はぁ?」眉をひそめて千夏の顔を見る
恋「実はかくかくしかじかで・・・」
五分後
友「そうだ、ツーショットとかスマホに入ってるでしょ。それ見れば?」
主「あ」
恋「その手があった」
友「おいおい・・・」
主「消えてる・・・」
恋「私は先週スマホ変えちゃったから一枚も無いや」
主「なんか怪しいな」
恋「怪しいって、壊れちゃったもんはしょうがないじゃん」
友「通話は?かけてみた?」
恋「普通に私のスマホが鳴ったよ」
主「は~~~~もう訳わっかんねぇ。俺の彼女はどこ行ったんだよ~」
恋「ここにいるんですよねぇ」
友「あ、そういえば私この前テレビで似たような話見たかも。なんだっけな、ジャメヴ?」
主「ジャメヴ?聞いたこと無いな。調べてみよ」
主「・・・なるほど。つまりデジャヴの反対で、慣れ親しんだ筈のものが初めて見るように感じてしまう現象ってことか。初めて知った」
恋「確かに、これっぽいかも」
主「なんか色々考えてたら頭痛くなってきた」
友「気分転換に一旦散歩でもしてきたら?もしかしたらだんだん思い出してくるかもしれないし」
主「部屋に知らない人残して外行きたくないんだけど」
友「私もいるから大丈夫だよ」
主「いいの?」
友「うん」
主「ありがとう。じゃあちょっと外出てくる」
家
恋「おかえり」
主「た、ただいま。あれ、鈴木さんは?」
恋「帰ったよ。私たちの代わりにすずめの戸締り観に行った」
主「あっそうだ忘れてた」
恋「いいよ、また今度行こうね」
主「・・・」
恋「弘樹、私のチャーハン好きだったでしょ?」
主「君ではないけど、せっかくだしいただきます」
主「おいしい」
恋「そう?よかった」
恋「それで、何か思い出せた?」
主「・・・ごめん」
恋「いや、大丈夫。ねえ、ところで弘樹、私と別れるとか言わないよね?」
主「言わないけど、しばらくの間一人にしてほしい」
恋「ふうん、わかった」
主「おいしかった。ごちそうさまでした」
恋「よかった」
主(チャーハンは確かに美味しかったけど、でもやっぱり初めて食べる味がした。)