カッパの仮面(仮)(J)

 

「あち~」

「ねえ、そろそろ休憩しない?私ちょっと疲れちゃったんだけど」

「おい、お前がパワースポットに行きたいって言うから俺たちはサークル活動休んでまでついてきたんだぞ、もうちょい頑張れよ」

「えー、でも圭太さっきから楽しそうに写真撮ってるじゃん」

「これはサークル活動とは別だから」

「はぁ、そうですか・・・」

「というか、そろそろ目的地に着くんじゃないの?」

「えーっと、、ちょうどここが地図のこのあたりだから・・・・あ、ほんとだ。着いた!ここだ!」

「お、やっと着いたか」
河原に着いて、早速パワーを貰うために河の水に触れる女。

「冷た!ほら、みんなも触ってみなよ!」

みんなもやれやれという感じで
河に向かう。すると、天然男は「珍しい虫がいた」と言って原っぱを駆け始める。他の三人はその天然男の奇行には慣れている様子で、一旦放っておこうか、と言い合う。その後、主人公が思い出したように「そういえばこのパワースポットはどんな効果があるの」と聞く。
女は水から手を出し、ハンカチで拭いてからメモを取り出して、「金運が上がるし交通安全にも効果があるし、あと恋愛と...」どんだけあんだよ、と主人公が言い二人で笑い合っていると、ヤンキー男が「なんだこれ!」と言って女と主人公を呼ぶ。それを聞いて不思議そうに顔を見合せてから主人公と女はヤンキー男の元へ向かう。するとそこには、きゅうりと置き手紙のようなものが河のふもとに置いてあった。その手紙には、
カッパさんへ
きゅうりたべてください
たろうより
と書かれていた。

三人は微笑ましくなるが、ヤンキー男がにやにやしながら突然言う。「おもしろそうだし、きゅうりを隠してみるか?」主人公と女はそれを笑いながら否定する、この手紙を書いた少年が可哀想だ、と。しかし主人公がふと「もし隠したらどんな反応するんだろう?」と冗談交じりに疑問を呈す。
ここから大まかな会話の流れ(どれが誰のセリフかは未定)
「もしも隠したら少年はきっと河童の存在を信じるだろう」
「そう思ったら隠してあげた方がいいような気もしない?」

「どうして?」
「だって隠さなかったら少年は河童がいないってことを知って悲しむでしょう」
「うーんたしかに...」
気がつけば三人は、河童の存在はいない、という悲しい現実を教えるためにきゅうりをそのままにしておくか、河童はいる、という優しい嘘をつくためにきゅうりをどこかに隠すか、という二つの選択肢の前に立たされていた。そして三人が困っていると、天然男が息を上げながら虫取りから帰ってくる。みんななにしてるの?という天然男の言葉で、天然男はこの状況を教えてもらう。

「何話し合ってるの?」

「かくかくしかじかで・・・」

そして状況を知った天然男はすました顔で言う、「河童っていないの?どうして河童がいないって言いきれるの?」

それを聞いて少し馬鹿にしたようにみんなは笑う、いるわけないじゃん、と。しかし主人公の顔つきは少し変わった。馬鹿馬鹿しいけど、たしかに、本当にいないとも言いきれない、そう考えるようになる。そして主人公は気がつく、

「今まで僕達は、きゅうりを隠して河童が「いる」という証明をするか、きゅうりを隠さずに河童は「いない」という証明をするかの二択で考えてたけど、それは間違いだったんじゃないか?だって、僕達自信にも河童がいるかどうかは分からないんだから」
そして再び皆で考える、僕達がこの少年のためにしてあげられることはなにか。そしてみんなはとある決断をする。

「わかった。じゃあ、こうしよう」

絵里はカバンから水の入ったペットボトルを出し、そこにメモ帳のページを1枚破って置き手紙を書く。少年のものと似たような書き方で、
「カッパさんへ
この水でお皿をぬらしてください
山田大すけより」
と書いた。

「思ったんだけど、川の水があるのにわざわざ水要らなくないか?」

「あっ、確かに・・・」

「じゃあ、何を置く?」

「俺ポテチなら持ってるけど・・・」

「いやー、カッパってポテチ食べるのかな」

「私はハンドクリームくらいしか持ってなかった」

「お、いいんじゃない?お皿の乾燥を防ぐにはもってこいだろ」

「なるほど~」

「確かに・・・」

「一理あるな」

一同はハンドクリームと「このハンドクリームでお皿の乾燥を防いでください」と書いた紙をその場に置き、河で手を濡らしてパワーを貰い、帰路についた。